2024.12.27
自律神経失調症とは?
自律神経失調症は精神医学の正式な病名ではありません。不眠症、閉所恐怖症、夢遊病などと同じく症状に「病」とか「症」をつけたものです。ですから正式な診断書には用いられません。そのため主治医に「自律神経失調症」と言われていても診断書には「適応障害」とか「うつ病」と書かれているということもあります。
そもそも自律神経とは何でしょうか。交感神経と副交感神経を合わせて自律神経と呼び、交感神経は活動するための神経、副交感神経はリラックスするための神経というのがざっくりとした役割です。しかし、そんなに単純なものではなく、とても複雑で繊細に働いていると言われています。(まだ解明されていないことも多いのです。)自律神経は心臓の拍動や呼吸、食べ物の消化、排泄、睡眠といった私たちが生きる上で欠かせない体の働きを調整しています。そして、環境が変わったりストレスがかかると適応しようとして自律神経がからだの働きを調整します。ところが、ストレス因が強すぎたり長引いたりすると調整しきれなくなり、血圧が上がったり嘔吐や下痢や不眠といった症状が起こります。これを「失調」と呼んでいるのです。
精神科では症状を緩和するために薬物療法を行いますが、あくまでも対症療法です。根本的な原因はなんらかのストレスです。今直面している環境や人間関係におけるストレスだけでなく、自分自身の考え方や生活スタイル、過去のトラウマ体験である場合もあります。ですから、自律神経失調症はストレスに向き合い、生きやすくなるよう変化したいという「からだ」からのSOSなのです。当院ではそうしたSOSを共に受け止め向き合い、より健やかに生きられるよう支えていきます。